A10-7890KとRadeon R7 250、MSIのマザーボードでDual Graphicsを構築した。
Web上で見つかる情報と異なる部分が多くありハマッたので覚書。
MSIのM/B(旬ではないが…)を使っている人には役に立つかもしれない。
- CPU: AMD A10 7890K
- メインメモリ: DDR3-1600 16GB(8GB x 2, Dual Channel)
- グラフィックボード: MSI Radeon R7 250 1GD5 OC
- マザーボード: MSI A88XM-E45 V2
- OS: Windows 10 Pro 64ビット
- Redeon Software: Crimson ReLive Edition 17.7.2
グラフィックボードのディスプレイ出力を使用する場合
BIOS設定
Integrated Graphics Device Configuration
- Initiate Graphics Adapter: PEG
- Integrated Graphics Devices: Dual Graphics
- Integrated Graphics Share Memory: (任意)
- ボード取り付け後、BIOS上で上記の設定にする。
(※BIOSメニューはInitiate Graphics Adapterで設定した出力先にディスプレイを繋がないと表示されないので注意) - Windows起動後、自動的にドライバがインストールされる。
- Radeon Softwareを開き、"ゲーム"→"グローバル設定"→"グローバルグラフィック (AMD Radeon R7 Graphics + R7 200 Dual Graphics)"→"AMD CrossFire"が"オン"になっている事を確認する。
- グローバルグラフィック (AMD Radeon R7 Graphics + R7 200 Dual Graphics)が表示されない場合、"ゲーム"→"グローバル設定"→"グローバルグラフィック (AMD Radeon 200 Series)"→"AMD CrossFire"をクリックすれば確認が表示され、オンにする事ができる。
- デバイス マネージャでディスプレイ アダプタを見ると、"AMD Radeon R7 Graphics + R7 200 Dual Graphics"と"AMD Radeon(TM) R7 Graphics"の組み合わせとなっている。
- そうでない場合、AMDのサイトより、Radeon Softwareの最新版をダウンロードし、インストールし、2.からやり直してみる。
オンボードのディスプレイ出力を使用する場合
BIOS設定
Integrated Graphics Device Configuration
- Initiate Graphics Adapter: IGD
- Integrated Graphics Devices: Dual Graphics
- Integrated Graphics Share Memory: (任意)
- ボード取り付け後、BIOS上で上記の設定にする。
- Windows起動後、自動的にドライバがインストールされる。
- デバイス マネージャでディスプレイ アダプタを見ると、"AMD R7 200 Series"と"AMD Radeon(TM) R7 Graphics"の組み合わせとなっている。
- Radeon Softwareを開き、"ゲーム"→"グローバル設定"→"AMD Radeon Dual Grap..."が"オン"になっている事を確認する。
そうでない場合、クリックすれば確認が表示され、オンにする事ができる。
ポイント
- グラボからの出力を使用する場合、デバイス マネージャ上でDual Graphicsが有効である事が確認できる。又、Radeon Software上ではCrossFireと表記される。
- オンボード出力を使用する場合、デバイス マネージャ上にDual Graphicsは表示されない。
Web上で見つかった情報
- Radeon Softwareの"Radeon 追加設定"(従来のCatalyst Control Center)から設定するという情報があるが、現在のRadeon Softwareでは存在せず、設定はできない。
(※Windows Updateによるドライバがインストールされている場合、"Radeon 追加設定"は存在したが、その先に"ゲーム"及びDual Graphicsの項目はなかった)
パフォーマンス
3DMark
Clowd Gate | Fire Strike | |
A10 7890K | 6243 | 1468 |
Radeon R7 250 1GD5 OC | 8523 | 2171 |
Dual Graphics (グラフィックボードのディスプレイ出力) | 9853 | 2552 |
Dual Graphics (オンボードのディスプレイ出力) | 9874 | 2566 |
Dual Graphicsの効果はあるようだが、Fire Strikeのデモ画面を見ている限りでは、オンボードでは紙芝居なのがグラボ出力では何とかアニメーションに見えるようになるので、グラボが特に頑張っているように感じる。
メイン メモリをDDR3-2400にするとどの位パフォーマンスが向上するか気になるところ。(M/BはDDR3-2133までしか対応していない)
ただ、元々ゲーム向きの構成は考えていないし、本当に快適にゲームをやりたいならA10は選ばないかな。
その他
- Forza Horizon 3で試した結果、スペックは出力しているアダプタに依存する。
グラボから出力すると、恐らくGDDR5のメモリ効率が良いためパフォーマンスは良いが、VRAMは(1GBとして認識され)不足と警告が出る。
オンボードとグラボのVRAM容量を合計して3GB、という訳ではない様子。
但しこれは、アプリケーション(ゲーム)によって異なるかもしれない。
本来Forza Horizon 3はSLIに対応していないらしいので、CrossFireを応用したDual Graphicsは利用できないのだと思う。実際、オンボード出力を使用するとVRAM不足の警告は出なくなるが動きがおかしく、ゲームにならなかった。
(ちなみにDual Graphicsを使わずに7890Kのオンボード出力を使用すれば、画質は最低限だがゲームはそれほど問題なく楽しめる) - MSIのR7 250はVRAMがGDDR5 1GBのもの(今回装着したもの)とDDR3(1800MHz) 2GBのものがある。
GDDR5はバススピードが4.6GHzなのでパフォーマンスはこちらが上だと思う。但し、GDDR5版にはCrossFire(ボードどうしの方)への対応が書かれていない。
尚、MSIのサイトを見るとR7 250は7種類もあり、GDDR5 2GBのものもあるが、アスクが販売しているのは前述の2種類のみの模様。
R7 250は流通量も少なくなっており、スペックの割に高値となっている。
A-Series最新版の7890Kとは言え、Dual Graphicsの現実的なメリットはかなり薄らいでいる感じがある。
所感
ソフトベンダーはアップデートで仕様を変え、その差異が詳細に公表されていない場合が多く、今までのチュートリアルが役に立たなくなる事が多い。今回はMSIのM/Bの設定方法は自力で調べたが、Web上で調べたRadeon Software(とCatalyst)の情報はほとんど役に立たなくなっていた。
例えばマイクロソフトによるWindows Creators Updateも顕著で、NECや富士通が自社PCユーザー向けに公開しているWindows 10のチュートリアルは既にUIが異なっており、役に立たない部分が少なくない。
ベンダーの立場とすればユーザーがUIに従えば目的に辿り着けるというスタンスなのかもしれないが、ユーザーは既に機能を知っており、知りたいのはその機能がどこからどこへ移動したのかでしかなく、それを知る術はベンダー側は用意していない事が多い。