Project Flower ブログ

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弘法筆を選ばず

せっかくプロのカメラマンがいて美しい景色が目の前にあるのに、安物のカメラしかない。

そんな状況でもカメラマンが素晴らしい一枚を撮影できたとすれば、正にそれは“弘法筆を選ばず”だ。

一流を極めた人は、凡人と同じ状況下でも類まれな能力を発揮を発揮する。これがこの諺の真意だろう。

だからといって、能力さえあれば良い環境でなくても優れたアウトプットを出せるという理由で能力にだけ着目し、環境をおろそかにするのは良くない。

弘法大師であればサウナのような部屋やボロボロの筆でも素晴らしい作品を生み出せるかもしれないが、そんな状況でもっと素晴らしい作品を生み出すためにできる事は、環境の改善である。

サウナのような部屋やボロボロの筆でも素晴らしい作品を生み出せる人であっても、快適な部屋でお気に入りの筆を用いた方が最もパフォーマンスを発揮できるに違いない。

ソフトウェアの職場では「アレ使っちゃだめ。コレ使っちゃだめ」なんて束縛されることは少なくない。

以前ニュースで、官公庁の職員が使っていたフリーのツールにマルウェアが組み込まれており被害を受けた、なんてのを見たことがある。

そのような損害を防ぐために規制をすることは確実に効果はあるだろうが、その一方でパフォーマンスを犠牲にするような問題が発生しているとすれば、実にもったいない事だ。

私はNotepad++Visual Studio Codeのようなエディタが使いたいが、職場では禁止されている。使えるのはサクラエディタTeraPad

サクラエディタは熟成されてはいると思うが今どきの開発環境に適しているとは思えない。バージョンまで指定されているが、使える正規表現ライブラリが改行を含む正規表現が使えなかったり、アサーションに量指定子が使えなかったりで、かなりストレスを感じる。

使用可能ソフトのTortoiseGitに付属しているので、Notepad2をデフォルトのエディタにするという抜け道を行使してみたが、これもそれほど正規表現は強力ではない。

Notepad++はバグが散見されたりShift-JISに弱かったり、熟成されているとは言い難いが、ちょっとした編集を行うのであれば大抵の操作が軽快で、正規表現も割と柔軟に使えるので気に入っている。矩形選択もVisual Studioとほぼ同じ操作ができて、この点もポイントは高い(Visual Studio Codeの矩形選択は少し癖がある)。

画像編集もPaint.NETを長く使っているがこれも使えない。範囲指定とか塗り直しとか、直感的で使いやすく、画像いじりでやりたい事はほぼできるのでたいへん重宝していたのだが…

TortoiseSVNは指定されているバージョンがかなり古いので、例えばサブディレクトリの.svnディレクトリを削除してしまうとローカルの再帰的な変更が追跡できなくなる。最新版くらい使わせろと…。

グループウェアも「誰が」「何時から何時まで」「何をしている」程度の事しか管理できない原始的なものを使っている。

私は弘法大師ではないが、手枷足枷をされて、最大のパフォーマンスを発揮する手段を押さえつけられている気分だ。

ソフトウェアの規制は結構だが、この職場で必要なことは、有用なソフトウェアを使えるように気軽にできるスピーディーな承認のプロセスを用意すること、ではないかと思っている。

そして社員は新しく優れたソフトを知っておくことも必要なことだろう。